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ロンドン留学日記→帰国後はイギリスかぶれ英語教師の日記


by londondays
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Imperial War Museum

日本語にすると『帝国戦争博物館』。なんだか物々しい名前です。
この博物館、決して近くにあるわけではないのですが、なぜか2回も行ってしまいました。
どちらも友達に誘われて行ったのですが、意外と楽しめる博物館です。

この博物館はウォータールー駅の近くにあり、病院だったところを改装して博物館にしたそうです。改装、と言ってもむしろ外枠だけ使っている、という感じですが。
建物の前には庭(?)が広がっていて、中央に大砲がドーンと置かれています。大砲の近くにはベルリンの壁の一部やミサイルが置かれていたような。外見は全体的に暗い印象です。

1回目に入ったときはなかったような気がしましたが、2回目年末に訪れた時には荷物検査がありました。友達の鞄がティー・ポットの形をした特殊なバッグだったので、荷物検査のお兄さんが「えぇ~こんな鞄見たことないよぉ~!!」って驚いてました。なので、そんなに厳しく見られるワケではありませんでした。
入って一番最初に目に入るのは、戦闘機の数々。戦車やら兵隊を輸送する車やら、飛行機やら。
いろんな時代の戦闘機があるので、昔の輸送用の車はこじゃれたクラシック・カーみたいでした。
戦争に行くのにもかわいいデザインするもんなんだなぁ、と感心・・・。私はこういう戦闘機に興味を抱いたことがないし、知識もないので特に感動はありませんでしたが、戦闘機が好きな人にはたまらないんだろうなぁ、と思いました。実際、迷彩服を着た戦争マニアっぽい人やら、右翼っぽい人が多い博物館でしたね。
イギリスの博物館では博物館教育に力を入れているようで(byザンビア)、ここにも部屋の片隅に子ども用の体験学習アトラクション(?)がありました。潜水艦の中はどうなっているのかな?みたいなテーマで。潜水艦の中の匂いを体験したり(臭かった・・・)、非常時にどうやって非難するシステムになっているのか、とか、水兵用のベッドに横になってみたり・・・。面白いのは、いろんなところにクエスチョンがあって、子どもに考えさせるようにしてあるっていうことです。私も子ども(とその親)に混じって体験してみました。いやぁ、これがなかなか面白いんです。ほんとに。

そして、地下はいろんな戦争の展示になっています。世界各国の紛争から世界大戦まで。展示とともに戦争の背景や成り行きが説明されていて、知識がない人でも問題はありません。展示を見ていくと、ああ、こんな戦争あったんだっけ、と思い出したり、こんなところで戦争してたのか、と意外に思ったり。あと、やっぱりイギリスっていろんな戦争に関係してるんだなって思ったり。
世界大戦は大きなカテゴリーとして設置してあり、勃発から順番に見ていくことができます。ちなみに日本の扱いはすごく小さいです。ヨーロッパでは第二次世界大戦=ナチス・ドイツなんだな、と。ちなみにホロコーストに関しては、博物館の2・3階だったかの2つの階をまるまるホロコースト展示にあてています。

地下にはこれまた体験アトラクションがあります。ロンドン大空襲(Blitz)体験と、戦場体験。
空襲体験は、まず、数人で防空壕に入ります。真っ暗。もうこの暗さで私は入ったことを後悔。ドアが閉められて真っ暗な中、人の話す声が聞こえ(非難している人の声)、ドーン、ドーン、と爆撃音と共に椅子がガタガタします。で、案内の人が入ったのとは逆の扉を開けて私たちを誘導。火の海と化したロンドンが見えるようになっています。爆撃後の町並みをちょっと歩いて終了。まぁ大したことはありませんが、暗闇が怖かったですね。
戦場体験は「戦場の部屋」を歩いて体験です。この部屋のすごいところは匂い!!火薬の匂いなのか、なんとも言えない、耐えられない匂いがします。入った瞬間に出たくなりました。小さな作戦基地で通信する通信兵(?)から、戦場の前線で銃を構える兵士のマネキンと、爆撃音。出口の前で待っているマネキンは、血だらけで仲間に支えられている兵士。ここを体験しただけでも絶対戦場に行きたくない気持ちになります。

1階に上がるとスパイ・秘密警察の展示があります。入ってすぐの展示は007・・・。しかし、展示を見ていくと本当に007ばりの仕掛けで面白いです。旧共産圏やナチスの秘密警察なども写真が展示されていて、興味深いです。スパイよりも、やっぱり秘密警察って怖いですね、なんとなく。

そして2・3階はホロコースト展示。この部屋に入る前には携帯電話の電源を消すように指示されます。他の展示とは違う、重々しい雰囲気が漂います。入ってすぐはホロコースト前の家族の写真が展示され、そこを通過するとホロコーストの経緯からアウシュビッツ収容所までの展示が並びます。私が一番ショックを受けたのは、手術台。ユダヤ人だけではなく、体に障害がある人もナチスの政策の下殺害されたわけで・・・。真っ白で冷たい手術台からなぜか目が放せませんでした。アウシュビッツ収容所は小さな(といっても敷地含めて6畳くらい)模型で展示されていました。その模型の前にはいくつか席があって、強制収容所からの生還者の証言(本人によるインタビュー音声)が聞けるようになっています。つらそうに、訛った英語で話される証言は、心を打つものがあります。

4階はジェノサイドのショート・フィルムが上映されています。これも見るのがつらい映像です。子どもが銃を構えている様子を見ると・・・本当につらい気持ちになります。いまだにこういう状況下にある子どもたちがたくさんいるのかと思うと本当にやりきれないですね。

というわけで、Imperial War Museumはアトラクションがあって楽しめるし、戦争に関しての認識も深まるほか、いろんなことを考えされられるので行く価値は大いにあると思います。
しかも無料。
帰国前にもう一回くらい行ってもいいかなぁ、と私は思っています。
by londondays | 2005-02-03 02:16 | 博物館